ちょい若おやじの映画と読書の記録

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映画レビュー#46 かぐや姫の物語 [スタジオジブリ]

2015.03.09 (Mon)

かぐや姫の物語 [DVD]かぐや姫の物語 [DVD]
(2014/12/03)
ウォルト ディズニー スタジオ ホームエンターテイメント

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[説明]
公開:2013年11月23日(日本)
上映時間:137分
監督:高畑勲
脚本:高畑勲、坂口理子
原作:『竹取物語』(成年、作者不詳)
出演:
朝倉あき ― かぐや姫
地井武男・三宅裕司 ― 翁
宮本信子 ― 媼
高良健吾 ― 捨丸
田畑智子 ― 女童
高畑敦子 ― 相模
音楽:久石譲
主題歌:「いのちの記憶」作詞・作曲・唄 ― 二階堂和美
劇中歌:「天女の歌」作詞 ― 高畑勲、坂口理子/作曲 ― 高畑勲

出典:エンドクレジット、wikipediaかぐや姫の物語
公式HP:かぐや姫の物語 公式サイト(畑事務所)

[あらまし]
今は昔、竹取の翁といふ者ありけり・・・


[レビュー]
高畑勲監督があの『竹取物語』をアニメーション化した作品。
本来は『風立ちぬ』と同年公開する予定だったらしいが、高畑監督のこだわりでずれこんだらしい。
『ホーホケキョとなりの山田くん』の公開が1999年だったから、実に15年ぶりの高畑作品。
管理人は本当に絵心がないので、アニメーションの技術的なことはよくわからないけれど、髪の毛1本1本まで繊細に描かれたようなタッチは映画の躍動感や登場人物たちの感情の描写がより現れているようで、鳥肌が立つシーンが少なくなかった。
普通のアニメーションだと、動く部分と背景を別で描くらしいのだけど、本作はその区別をつけず一緒に描いたとのこと。それはとても大変な作業量になるのだろうけど、それによって1枚の絵画が動くかのように感じることができたのではないだろうか。言葉で書き表すのが難しいが、背景の竹林や風の流れなども感じられるように仕上がっていたと思う。

また、先に声優さんたちに声を入れてもらって、それに合わせて作画をするという手法が使われていたらしく、そのおかげで地井武男氏の生前に収録することができたらしい。その手法だと恐らく、より声と絵がマッチさせることができるのだろうし、声の性質を聞きながら登場人物たちの性格を想像しながら描くこともできるのだろうか。

高畑作品といえば、『火垂るの墓』や『平成狸合戦ぽんぽこ』を観て管理人は育ったようなものである。
宮崎作品ももちろん好きなのだが、高畑作品もまた宮崎作品と同じくらい好きである。
ジブリの2大巨匠だと思うが、お互いにちょっと雰囲気が違うような気がする。
宮崎監督が童話の世界を宮崎世界観で描いていて、高畑監督はもっと些細な日常を切り取った上で高畑世界観を描いているような印象がある。

―かぐや姫の罪と罰―
本作は中学校のころだか高校のころに国語の教科書に載っていたあの『竹取物語』をベースにしている。
本作を観ながら、ほとんどかつての記憶と同じストーリーだったので、今回観終わった後に原作と言われている『竹取物語』を読んでみた。本作の要点は、かぐや姫の罪と罰。これを劇場予告編で観たときに、「一体罪と罰ってなんだろう?」「そもそも原作に罪と罰って出てきたっけ?」という疑問を抱いていた。子どものころはなぜかぐや姫が地球にやってきて、なぜかぐや姫が月に帰らなければならないのかということに全く気をもんでいなかったが、今回原作を読んでみたら、確かにその疑問を抱いたのである。

原作の中で、かぐや姫が翁と媼に自分が月の人であることを伝える場面がある。
そこではかぐや姫は「昔の契り」によって、地球にやってきたと語っている。
また、月からの使者がかぐや姫を迎えに来たシーンで、使者は翁に対して、

  汝、をさなき人、いささかなる功徳を翁つくりけるによりて、汝が助けにとて、
 かた時のほどとて降ししを、そこらの年頃、そこらの金賜ひて、
 身をかへたるがごと成りにけり。かぐや姫は、をつくり給へりければ、
 かく賤しきおのれがもとに、しばしおはしつるなり。の限果てぬれば、
 かく迎ふるを、翁は泣き嘆く、能はぬことなり。はや出したてまつれ


と語る。
これによれば、かぐや姫は月で罪を犯したために、地球に送っていたようで、その罪の償いが済んだと判断した月側が迎えにやってきたということになるだろうか(あくまで管理人解釈)。
ただ、何が罪で何を以てその償いが済んだのかについては一切原作には描かれていない。

[説明]にリンクを貼っている公式サイトの「監督の言葉」によれば、

  いったい、かぐや姫が月で犯した罪とはどんな罪で、“昔の契り”、すなわち「月世界での約
 束事」とは、いかなるものだったのか。そしてこの地に下ろされたのがその罰ならば、それが
 なぜ解けたのか。なぜそれをかぐや姫は喜ばないのか。そもそも清浄無垢なはずの月世界
 で、いかなる罪がありうるのか。要するに、かぐや姫はいったいなぜ、何のためにこの地上に
 やって来たのか。
  これらの謎が解ければ、原作を読むかぎりでは不可解としか思えないかぐや姫の心の変化
 が一挙に納得できるものとなる。そしてその糸口はつかめた! とそのとき私の心は躍った
 のですが、半世紀を経て今回取り上げるまで、この“昔の契り”コンセプトは、長年埃をかぶっ
 たままでした。


と述べている。

さて、その罪と罰とは何だったのだろうか。

おそらく高畑監督が思うかぐや姫の罪とは、月世界で地球に興味を持ち、そこで“生きたい”と思ったことなのだと思う。
月世界にはかつてかぐや姫と同じように何らかの罪の償いとして地球で生きた人が登場する。
その人物が地球での記憶を忘れている(月に帰るときに忘れるように羽衣をかけられる模様)にも関わらず、地球に思いをはせて歌を歌う姿を見て、かぐや姫が地球に興味を抱いたような描写があった。

おそらく映画で描かれた月世界は極楽浄土だったり、ユートピア的なものであると思われる。
東洋的な世界観だとは思うが、月からの使者やその他の月の住人の姿が仏様の姿だったので、極楽浄土のようなものとして描かれていたような気がする。
高校のころの古文で読んだ古典作品では極楽浄土のためのお話があったし、煩悩をいかに取り払うかといったことが描かれていたような記憶がある。

ただ、本作ではかぐや姫はその煩悩まみれの地球での生に興味を持ち、それこそが月世界にとっての罪だったのではないだろうか。
ユートピア的な世界観が実はつまらないもので、煩悩まみれの生こそが素晴らしいように描かれる映画自体は他にもあると思う。
ただ、それを古典の『竹取物語』に見出すというところがさすが高畑監督というところなのだろうか。
あまり古典に造詣がないので、もっと知りたいのは、古典と呼ばれる作品で、極楽浄土ではなく、今生きている世界に何かを見出そうとする思想が現れている作品ってどのくらいあるのだろうか?

また、面白いなあ、と思ったのは、その罰というのが地上で暮らさせて、煩悩に嫌気がさしたところでお迎えに行くというところ。抱いてはいけない思想に対して、実際にやらせた上で、「ほら言ったじゃない。煩悩は苦しかろうよ」といった感じで最終的には記憶を消すという罰に興味を抱いた。
仏様のスタンスは管理人にはよくわからなかったが、仏様にとっては映画で描かれる“素晴らしき生”なんて、これっぽっちも素晴らしいとは思っていないのだろう。そもそも関心を抱くなんてことはないのだろう。
罪も罰も絶対的なものなんてありえないということをつくづく感じた。
日本だったら現行刑法やらで罪と罰を定めているにすぎないし。
その刑法で定められた中で生きていくということって何だろう、どんなふうに生かされているいるのだろう、といった興味や関心は尽きないが、この映画では文字通り自然の生や煩悩の生の美しさ、はかなさのようなものの模索が強調されていたと思う。制度的な社会的な生を考えていくこともまた個人的にはこの映画を通して感じたこと。

罪と罰を紐解いて、かぐや姫の心情の変化を読み解いてみようという監督の試みは詰まっていたと思うし、その愛の爆発があの映像になるのかなあ・・・
素直に面白かったなあ。

久しぶりに『となりの山田くん』観たくなったなあ~

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コメント

No title
背景の竹林や風の流れなども感じられる・・・
アニメは苦手ですが、興味を持ちました。

罪と罰、何なんでしょうね。

かぐや姫を月に戻されて、地球の人間が悲しい思いをするでしょ。悲しませた方は、それは罪じゃないのかなってことで、地球で暮らさなくちゃだめね。

と、こんな下世話なことを感じる映画じゃないのでしょうか。笑
Re: No title
あかりちゃん、コメントありがとうございます。

1枚の絵画が動いているような感じでしたね。

> かぐや姫を月に戻されて、地球の人間が悲しい思いをするでしょ。悲しませた方は、それは罪じゃないのかなってことで、地球で暮らさなくちゃだめね。
>
> と、こんな下世話なことを感じる映画じゃないのでしょうか。笑

笑笑笑。
下世話コメントありがとうございまーす!
モニター前で、爆笑させていただきました。
月住人からすれば、悲しいという概念がないのかもしれません。
あーだこーだ考える余地がありそうですが、あかりちゃんのご指摘ごもっとも!
あかりちゃんがかぐや姫なら月の使者に理論詰めしていたかと思うと、なお笑えます!
笑いをありがとうございました。
残念
しかし、残念です。
アカデミー賞…。
今回は、やったねと思ったのですが、
失礼ですが、
あのディズニー作品に負けるとは…。
確か、審査員はジブリ贔屓では…??
Re: 残念
カッパさん、コメントありがとうございます。
アカデミー賞は残念でしたね。
少年期に、いつか映画監督になってアカデミー賞授賞式で監督賞をもらい、スピーチをすることを妄想し続けた私からすれば、作品を作って、ノミネートされること自体とても凄いことだなあ、と感じます。
『ベイマックス』はまだ未見なので、何とも言えませんが、色々事情が絡んだのでしょうかね~。

個人的には、『かぐや姫の物語』はかなり面白かったですが、年齢層を広く観た時に、子供たちはどう感じたのか、気になります。また外国人の目から見た『かぐや姫の物語』がどう見えたのかも気になります。
アカデミー賞の審査基準は知りませんが、やっぱり、子どもが喜んで、普遍的である必要があるんでしょうか。
一映画ファンとしては、監督の趣味の爆発や努力の結晶としての、独りよがり作品も大好きですが。
No title
「かぐや姫は、地球に何しに来たんだろう?」って
昔から疑問に思っていましたが、今日のオンエアも観て
やはりこうかな、と考えをまとめてみました。

最後の月世界の使者が仏像みたいに見えるところから、
仏教観的に考えると見えてくるのかな?
月世界は、解脱とか菩薩とかの世界で、「俗」のまったくないところと位置づけると、
下界である人間界は金や名声や色にまみれた「俗」の世界。
それで、先に来た女性の歌を聞いて俗世界にあこがれたことが、
清浄に生きるべきかぐや姫の「罪」だということでしょうか。
じゃ、人間界に行ってみろ、ということで、「俗」に揉まれてイヤなめにあわせようと
いうのが「罰」なのかなと思いました。
田舎の村にいた時は、「純愛」や「親子愛」や「自然」に包まれて
幸せだったようすが描かれているから、俗を捨ててピュアに生きるべきである、
という教訓が含まれている、というのが高畑さんの解釈なのでは?

でも、↓こういう感じの解釈もあるかもしれません。
『竹取物語』は、平安時代に書かれたものということだし、物語に帝も出てくるでしょ?
だから、当時の帝の王妃になるように仕向けられたひとりの女性の物語。
(当時の文学は、平民のものではないはず)
ある貴族の娘がいて、あまりに美しいので身内の政治的な出世策に利用された。
でも、しくじって、嫌な思いをするばかりで、死んで天に召されてしまった、
というくらいのハナシかなあ。
平安時代は、皇族や貴族が出世をめぐって殺人や政略結婚を繰り返した時代なので、
ありそうなハナシでは?
この筋の場合は、政略結婚が「罪」で、失敗の先に待っているものが「罰」。
汚い手を使った成り上がりはだめ、身の程を知れ、
というメッセージが込められているのでは?

・・・とこんな感じですが、いかがでしょう?
Re: No title
つかりこさん、コメントありがとうございます。
つかりこさん風の『かぐや姫の物語』と『竹取物語』の解釈ありがとうございます。

私は、『竹取物語』の作者という視点で何か考えてみたことがなかったので、興味深く読ませていただきました。原作では、帝からの寵愛を受けたさいに、かぐや姫が帝に実は興味がないような雰囲気を感じますが、愛を育んだといった記述がその後に登場しています。しかし、かぐや姫がどのような心情で、どのように帝の愛を受けたのか、どう感じたのかといったことは一切記述されておりません。高畑さんは、そこへの興味が尽きなかったのでしょう。その読解のために、原作に出てくる「罪」を考えてみようとしたところが高畑監督ならではの視点なのかなあ、と思いました。

「俗を捨ててピュアに生きるべし」という教訓があったように思いますが、私は俗も含めて、それが「生きる」ということだったのかなあ、と思いました。映画の中では、つかりこさんのおっしゃるように、前半パートは本当にかぐや姫がイキイキしていたし、自然も豊かで美しく、後半パートでは、都にいるためにかぐや姫がどんどん苦しくなっていく姿が描かれていたと思います。
きっと、高畑監督と私の解釈は違うんだろうなあ、とは思います。

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