ちょい若おやじの映画と読書の記録

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"Words can't describe how it feels flying through an aurora. I wouldn't even know where to begin..."

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書籍レビュー#4 沼地のある森を抜けて [小説]

2014.11.28 (Fri)

沼地のある森を抜けて (新潮文庫)沼地のある森を抜けて (新潮文庫)
(2008/11/27)
梨木 香歩

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読んだ日2014年11月27日(4年ぶりくらい。通算3回目?)
[説明]
出版日:2008年12月1日(文庫版) *2005年8月31日(書籍)
著者:梨木香歩
解説:鴻巣友季子
発行:新潮社
本編頁数:500頁

出典:本書奥付
新潮社公式HPより「梨木香歩『沼地のある森を抜けて』」(新潮社)

[裏表紙より]
はじまりは、「ぬかどこ」だった。先祖伝来のぬか床が、うめくのだ―「ぬかどこ」に由来する奇妙な出来事に導かれ、久美は故郷の島、森の沼地へと進み入る。そこで何が起きたのか。濃厚な緑の気息。厚い苔に覆われ寄生植物が繁茂する生命みなぎる森。久美が感じた命の秘密とは。光のように生まれ来る、すべての命に仕込まれた可能性への夢。連綿と続く命の繋がりを伝える長編小説。

[目次]
*「新潮社>新潮文庫>書籍詳細:沼地のある森を抜けて」にて閲覧可能なため、
  当ブログでも掲載する

 1 フリオのために
 2 カッサンドラの瞳
 3 かつて風に靡く白銀の草原があったシマの話 Ⅰ
 4 風の由来
 5 時子叔母の日記
 6 かつて風に靡く白銀の草原があったシマの話 Ⅱ
 7 ペリカンを探す人たち
 8 安世文書
 9 かつて風に靡く白銀の草原があったシマの話 Ⅲ
 10 沼地のある森
  解説 鴻巣友季子


[引用等について]
レビューに入る前に、当ブログにおける引用等についてを「書籍等の引用について」より、
一部抜粋する。


「文章は2~3行までとし、語句はOK、もちろん引用箇所を明記」
「もし違反申告を著作者本人及び出版関係者代表から妥当な理由を以って指摘されたら、その部分を削除」
「そもそも、できるだけ、引用はせず、感想文にする」
「youtubeの小窓機能などの機能については、fc2ブログで誰もが使える機能だから、OK」



では、以下よりレビューとする。


[レビュー]
日頃は移動に乗り物を使う管理人であるが、最近とある事情で久々に電車に乗って移動することがあった。
そんなとき、電車で読むようにと、ふと自宅の本棚から手にとったのがこの1冊。
管理人にとって梨木香歩という作家は、管理人の価値観や生き方に大きく影響を与えたといっていいだろう。
当ブログの左サイドメニューの「プロフィール」にも書いてあるが、梨木香歩は管理人が大好きな作家である。
少しだけ、本書のレビューをはずれて、梨木香歩氏と管理人が出会ったきっかけの事件(?)について書いておきたい。

今思い返せば、なかなか運命的な出会い方をした作家である。
管理人が中学2年生の夏休みのころ。
よくある夏休みの宿題として読書感想文があり、指定された数十冊の中から選んで本を読み、感想文を書いて提出するというものがあった。そのころ部活に全人生を捧げていると勘違いしていた(あながち間違いではなかろう)管理人は、当然のことながら(?)、その宿題に手を付けておらず、提出日の前日に至って初めて書籍選びをしていたのであった。
今思うと、本当にありえないことなのだが、途方に暮れた当時の管理人は、選択リストから上から順番に、そのタイトルをインターネットで検索し、完全なるコピー&ペーストで人様の感想文を書きつくす暴挙に出ていた。
そこでたまたまウェブ上で発見したのが、梨木香歩氏の『西の魔女が死んだ』であった。
平気な顔をして、完全に写し、翌日には意気揚々と提出したのだったが、
何とまあ、運命のいたずらと言うと大げさだが、当時の国語の女性教師が大好きな作家であり大好きな本であったらしいのだ。それまで、その教師と仲良さげな関係など一切結んでいなかったのだが、
急に「アンタを見直したよ」くらいの態度で「何が面白かった???」と楽しそうに質問攻めにしてきたのである。
その教師は提出した作文用紙のタイトル「西の魔女が死んだを読んで」(こんなだったと思う)しか見ていなかったので、何か管理人の策略を見破り、意図的に「教育」をしてきたわけではなく、本当に楽しそうに質問してきたのである。

何とも言えない罪悪感と同時に自分を悔いるような思いに駆られつつも「真実」を告げることができず、とりあえずその場しのぎで「先生も好きなんですか~!今度ゆっくり語りましょう!」なんて全力の笑顔で応対したのだった。
「ズルをしてしまった。その上、先生をだましてしまった。よし!このまま騙し通そう!」
という何ともネジれた感情から、その日のうちに慌てて図書館に行って、『西の魔女が死んだ』を手に取り、読んだのであった。

小説をよく読むタイプの少年だったとは思うが、田舎の中学生男子の反抗期たるや、である。
なかなか荒れ果てたことをしていた中学1年生を終え、何とか部活で全力を尽くそうとはしているものの、中学1年時の反抗期をひきずりつつ、トンガリにトンガリまくっていた少年であった。
そんな時に梨木香歩氏の小説を読む事になったのである。
詳しい感動は忘れてしまったが、あっという間に読み終わっただけでなく、心に感銘を受けて読書を終えるという経験を生れてはじめてしたのであった。
梨木氏の使うやわらかくも包み込むような言葉選び、悩める主人公、曖昧な関係性などなど・・・

女性的といったら語弊があるかもしれないが、少なくとも当時の管理人にとっては、女性小説家の作品に手を伸ばすという機会も少なく、このことがなければ手に取ることはなかったかもしれない。
更に、「騙し切ろう!」という覚悟があったからこそ、そして「語りましょう!」だなんて大それたことを言ったからこそ、アレコレ思考しながら文字を追ったのかもしれない。

いずれにせよ、この機会をきっかけに梨木氏の作品を読みふけってきたわけである。
その意味で出会いのきっかけとしても、内容としても『西の魔女が死んだ』は大好きな作品ではあるのだが、甲乙つけがたい梨木氏の作品の中で最も好きな作品が『沼地のある森を抜けて』なのである。

本書との出会いは確か、大学浪人時代に勉強から現実逃避するために地域の図書館で梨木氏の小説を探していたときだったと記憶している。
確かそのころくらいから、梨木香歩という作家自体に対しても興味を抱いたと思う。
梨木氏の考え方、生き方、思想などがどのように小説というフィクションの形で描かれるのかに興味を抱いた。
そのきっかけとなったのが、本書なのである。

簡単に言うならば、当ブログの「管理人あいさつ9.11更新」にも書いているのだが、

 管理人は常々、自己と他者の境界、国境、男と女、様々な境界には、
 文字通り「境」「隔たり」があるのではなく、互いに溶け合うような、
 そんな感覚に魅かれてきた。

 (「管理人あいさつ9.11更新」より、その更新箇所より一部抜粋)

この感覚は本書を読んで以降抱いてきたような感覚なのである。
梨木氏がどう思っているかはわからないし、何を汲み取ろうと読者各人それぞれだと思うのだが、少なくとも管理人にとっては梨木香歩小説を通して、このようなことを共通して感じるのである。


さて、前置きがかなり長くなってしまったが、それらを踏まえた上で、本書のレビューに入っていきたい。
いつものことながら、本書の細かな内容に照らし合わせて感想を書きたいわけではなく、全体を通して感じたことを書いていきたい。

従って、今回のレビュー構成は、

 ①何がそもそも面白いのか ―「ぬか床」と2つのストーリー
 ②「ぬか床」から感じ取ったこと ―その存在から、「境界」について少し

この2点を軸にやっていくこととする。
前置きだけ長くなったが、本編は軽めにやっていく予定。
今回は「読書紹介」に近いか???


何がそもそも面白いのか ―「ぬか床」と2つのストーリー
本書を読んだことのない方で、もしも読んでみたいという気持ちがある方に、簡単にこの物語を伝えるならば、
「ぬか床のお話!」
とだけ言うだろう。
完全に謎かもしれないが、あえて言うならば、そう言うだろう。
言葉使いの稚拙な管理人が熱く語るよりも「はあ?!ぬか床の小説って何?」ということで引っ張っておいたほうがいいのではないか、という安易な発想である。

管理人自身も当時、本の裏表紙を見て「ぬか床」という表記をから
「ぬか漬けの話って何さ?」程度からハマった口なのである。

この「ぬか床」という発想が実に素敵だと感じるのだ。
本書に登場する「ぬか床」は、言葉通り、文字通りの「ぬか床」でありながら、同時に「不思議なぬか床」であるわけだが、その2つの意味が掛け合いつつ、物語の軸として登場してくる。
梨木氏の綿密な調査なりお勉強があったはずだが、ぬか床の成分といった科学的なことに対しても用いつつ、それでいてそこから主人公たちに訪れる不思議な出来事を描いていく。

そして更に、本作において特殊な要素は、梨木氏の『エンジェル、エンジェル、エンジェル』などにも見られたことだが、2つの異なる次元の物語を描き、それがどこかでつながってくるような(読者に想像させる)手法をとっている点であり、それがまた本書を面白くしているのである。
何というか、2つの異なる次元のお話が1本につながっていくというよりかは、むしろ、つながっていくわけではないのだけれど、どこか共通するようなこと、そしてそれらが互いの話に関わっていくといった効果を生んでいると思う。
あくまで、2つの物語は2つの話として進んでいくのだが、何かつながっている、という感覚を抱く。

内容の解釈として、この2つが1つにつながってくるか、ということは管理人にとっては興味がなく、この空気感が好きなのである。

別次元のお話というのは[目次]の「かつて風に靡く白銀の草原があったシマの話」の3つであるのだが、このタイトルも素敵だ。「かつて」とか「シマ」とか「話」とか最高である。


「ぬか床」から感じ取ったこと ―その存在から、「境界」について少し
この「ぬか床」からどういった印象を抱くだろうか?
例えば、ぬか漬けを漬けるものであったり、毎日かきまぜないとダメになるといったことだったり、代々ぬかをついでいくだったり、冬はしんどいだったりといったことだろうか。
こういったことが作中で語られるし、更にこれらのことがこの物語全体の構成にもなっているわけである。

これらの「ぬか床」としての特性が描かれつつ、本書での不思議な出来事や主人公たちの変化も含めて重要な要素となっているのである。

本書を通して、人が生きるということ、命を生むということ、死ぬということ、そしてその人と人との関係性など考えさせられることが多い。
「ぬか床」を巡る物語、そしてその「ぬか床」内部の世界観のようなもう1つの物語を通して、それらのことに対する観方を提示してくれるような気がするのだ。

とりわけ、「境界」という概念について思いをはせられた。

「私」と「他者」とを明確に隔てるものってなんだろうか。そもそも「隔てる」という考え方しかありえないのだろうか。
「私」って一体何なのだろうか?「他者」って一体何なのだろうか?
それを本書に登場する人物たちが模索してくれるような気がするのだ。
特に管理人が好きなのは、もう1つの物語に登場してくる「僕」なのだが・・・

本書においてその登場人物たちの生き方や性格とこの「ぬか床」との関係性を見ていくこともまた面白いと思う。
理系女子の主人公をはじめとする個性的な面々と「ぬか床」の性質とがどう関わっているのかを見るのも本書をより面白くしてくれるのではなかろうか?


おわりに
今回は内容についてほとんどふれていないし、何を感じ、そして何からその感情を抱いたのかを書かなかった。
何というか、それでいいのが管理人にとっての本書であるというところが強いのかもしれない。
翻訳家の鴻巣友季子氏の解説もまた本書をどう捉えるのか、同氏が何を感じたのかという点で素晴らしい解説となっているので、もしも本書を手に取ったのであれば、解説も含めて一読することをお勧めしたい。
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コメント

No title
この作品は未読ですが、いっとき私も何冊か梨木果歩小説を立て続けに読みました。
そのきっかけは、娘の中学入試の国語の試験問題(模試?過去問?)に『西の魔女が死んだ』の一部が使われていたのを読んだことでした。
短い引用でしたが、文章が美しく、雰囲気がよく、その続きを読みたいと思わせるものがあったので、すぐに本屋に行って探しました。
ちょい若おやじさんの梨木香歩との出会いもそうですが、作家(本)との出会いって運命的なものを感じますよね。
『沼地のある森を抜けて』も面白そうですね。
久しぶりに梨木作品に触れてみたくありました。
No title
本棚を見たら、『西の魔女が死んだ』はありました!
ウチの家族で読んだことのない人は、僕だけのようです。(汗)
まず、これから読んでみますねー。
Re: No title
さとちんさん、コメントありがとうございます。
さとちんさんも梨木果歩氏を御存知でしたか~^^
中学入試関連に使われているのですね。
もしも私が入試で梨木果歩小説が使われていたとしたら、入試にならないかもしれません。笑
入試を解くことを忘れて物語に浸かってしまうかもしれません。笑

> 短い引用でしたが、文章が美しく、雰囲気がよく、その続きを読みたいと思わせるものがあったので、すぐに本屋に行って探しました。

同感します。
どこか優しげで、ふんわりとしていて、その文体が物語の内容を引き立ててくれて・・・


> ちょい若おやじさんの梨木香歩との出会いもそうですが、作家(本)との出会いって運命的なものを感じますよね。
> 『沼地のある森を抜けて』も面白そうですね。
> 久しぶりに梨木作品に触れてみたくありました。

さとちんさんは本が好きみたいですけど、やっぱりさとちんさんにも運命的なお相手がいるんですか~???

『沼地のある森を抜けて』は梨木氏の小説としては長いほうだとは思いますが、機会があったら読んでみてください。梨木氏の小説をいくつか読んだことがあるさとちんさんならば、題材や理系な要素など新鮮に感じるところがあるのではないでしょうか。
Re: No title
つかりこさん、コメントありがとうございます。

> 本棚を見たら、『西の魔女が死んだ』はありました!
> ウチの家族で読んだことのない人は、僕だけのようです。(汗)
> まず、これから読んでみますねー。

笑!
全然(汗)る必要はないかと。笑
でも、何かつかりこさんのきっかけになったのであれば幸いです。
あまり男向けではないかもしれませんが・・・(男の私が好きなので、あんまり関係ないかもしれませんが)
そんな出会いだったのか!
ちょい若おやじさんと梨木果歩さん小説との出会いって、そうだったのですね!!!わははは。笑ってスミマセン。全力の笑顔で対応し、慌てて読んだって想像しただけでおかしくて。でも、出会いってどこに転がっているかわかりませんね。とても素敵なことだと思います。
『沼地の~』読んでみたくなりました。境界、、、自分と他者の境界、自分の中でもさまざまな境界、がありそう・・・境目はあるようで無いからこそ、つくろうとするのでしょうか?
と、また私の理屈っぽいところが出てしまいました・・・

『エンジェル、エンジェル、エンジェル』読もうと思って購入してあるのですがまだ手を付けていません。今晩、読んでみます。
No title
梨木香歩って誰?という状態なんですが、
あー「西の魔女が死んだ」を書いた人なんですね。

って、勿論読んでいません・・・(^_^;)。

確か映画の「西の魔女が死んだ」は録画してあるはずなんですが・・・。

先ずは映画から行きます!
Re: そんな出会いだったのか!
あかりちゃん、コメントありがとうございます。

そうなんです!笑
こんな出会いだったのです!
笑ってやってください!

> 『沼地の~』読んでみたくなりました。境界、、、自分と他者の境界、自分の中でもさまざまな境界、がありそう・・・境目はあるようで無いからこそ、つくろうとするのでしょうか?
> と、また私の理屈っぽいところが出てしまいました・・・

同様に、生と死の境界、男と女の境界、様々なことを考えさせられる一冊でした。
本書に出会うまで、私は逆に、「境目がある」という常識を自分の中で疑ってこなかったからこそ、何事も2つに分けられるという考え方に固執して生きていました。
例えば、「善と悪」みたいな。
深く考えず、物事を「善い」「悪い」のどちらかで一度見てしまえば、もうずっとどちらかでしか見ることができなくなるような・・・
だから、あかりちゃんの言うような「境目をつくろうとする」というよりは「境目があると疑わなかった」が本書に出会うまでの私でした。

> 『エンジェル、エンジェル、エンジェル』読もうと思って購入してあるのですがまだ手を付けていません。今晩、読んでみます。

購入されていたのですね!
短めですし、さらりと読めちゃうかも。
こちらもとても素晴らしい作品だと思いますのでぜひ一読してみてください。
あえてここでは何も言わないでおきますねー!
Re: No title
バニーマンさん、コメントありがとうございます。

> 梨木香歩って誰?という状態なんですが、
> あー「西の魔女が死んだ」を書いた人なんですね。

そうなんです!
「梨木果歩」は知っていなくても、「西の魔女が死んだ」と言えば、知っている方が多いような印象を受けます。
梨木氏の代表作なんでしょうね。

> 確か映画の「西の魔女が死んだ」は録画してあるはずなんですが・・・。
>
> 先ずは映画から行きます!

私は映画のほうも観ました。
ファンあるあるなのかもしれませんが、映画版と小説ではやはり別物であるという印象を受けました。
映画から行ってみてください!
2時間程度の枠でさらりと物語を追うことがしやすいものになっているかと思います。
そしていつか機会があれば小説版も・・・どうぞ!

コメントありがとうございますm(__)m
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