ちょい若おやじの映画と読書の記録

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"Words can't describe how it feels flying through an aurora. I wouldn't even know where to begin..."

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映画レビュー#39 黒ひげ大旋風 [洋コメディ]

2014.10.27 (Mon)

黒ひげ大旋風 [DVD]黒ひげ大旋風 [DVD]
(2005/12/21)
ピーター・ユスティノフ、ディーン・ジョーンズ 他

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[説明]
公開:1968年
上映時間:107分
原題:Blackbeard's Ghost
監督:ロバート・スティーブンソン Robert Stevenson (『メリー・ポピンズ』監督)
脚本:
ドン・ダグラディ Don DaGradi (『メリー・ポピンズ』脚本、『フラヴァ・デラックス』脚本)
ビル・ウォルシュ Bill Walsh (『フラバー』脚本)
原作:
Ben Stahl, Blackbeard's Ghost, 1965, Houghton Mifflin
ベン・スタル…芸術家。映画『ベン・ハー』などのポスター担当。
出演:
ピーター・ユスティノフ Peter Ustinov
― エドワード・ティーチ(黒ひげ) Edward Teach "Blackbeard"
ディーン・ジョーンズ Dean Jones ― スティーブ・ウォーカー Steve Walker
スザンヌ・プレシェット Suzanne Pleshette  ― アンヌ・ベーカー Anne Baker
音楽:Robert F. Brunner

出典:
エンドクレジット、wikipedia Blackbeard's Ghost , Blackbeard , Ben Stahl (artist)

[あらまし]
陸上部弱小大学のゴドルフィン大の新たなコーチとして大真面目のスティーブは赴任してきた。彼が住居として用意されたホテルは、何と、かの“黒ひげ”ことエドワード・ティーチの子孫が運営するホテルであり、その建物も黒ひげが乗船していた船の難破船の廃材で作られたものだった。約200年前にパイレーツとして悪の限りを尽くした黒ひげ。しかし、そのホテルも街のギャングであるシーモア一家によって土地の買収計画が着々と進められており、経営難に陥っていた。シーモア一家はその土地にカジノをオープンさせるために、悪い噂を流しては、ホテルを廃業に追い込もうとしており、ホテルも借金がかさみ、とうとう数日後までに返済できなければ、ホテルを廃業しなくてはならないところにまで追い込まれていた。そんなホテル側は、先祖の黒ひげが遺した遺産の数々をオークションにかけ、少しでも借金返済のアテにするつもりであった。そのオークションにかけられた物のとある一品をスティーブが落札する。その品物は黒ひげの10番目の妻で、魔女として火あぶりの刑にあい、黒ひげに恨みを持つ者の遺品であった。その中から落ちてきた「呪文集」のうち「生と死の狭間であるリンボーに迷える者を呼び出す呪文」を悪ふざけに読んでしまう。その途端、スティーブの目の前にあの黒ひげが現れたのであった。黒ひげ曰く、「お前とともに行く、俺たちは離れられない」とのこと。その姿は呪文を唱えたスティーブにしか見えないのだが、黒ひげは現実のものも触ることができるのであった。
微量ながら集まった借金返済のためのお金を、黒ひげは勝手にすべてシーモアの経営するカジノで「ゴドルフィン大陸上部の大会での優勝」に賭けてしまう。
ゴドルフィン大が優勝し、借金返済はできるのか?そしてシーモア一家はちゃんと配当金を渡してくれるのか?

監督は『メリー・ポピンズ』のロバート・スティーブンソン。
スティーブ以外には見えないゴーストがあれもこれもとやり散らかすドタバタアメリカンコメディ。
(文責・管理人)


[レビュー]
これがまたとんでもないくらいの「アメリカ映画」である(?)。ウォールト・ディズニー配給であることにも表れているように、子供向けではあるのだが、実に単純明快なストーリーなのである。面白いか面白くないかについては、面白いと言えるだろう。とにかくツッコミどころ満載で大真面目なシーンでさえもボケのように思ってしまった。

本作は知り合いが子供のころに観たというもので、記憶がおぼろげなので、偶然にも発見したら観てみたい、ということにお付き合いさせていただいた作品であった。amazonではDVDがプレミアがついているのか、かなりのハイプライスなのだが、その知り合いが偶然にも(黄色い看板の)大手古本ショップで950円で売られているのを発見し、購入し、鑑賞するに至った。
さすが、黄色いお店。
何でもかんでも、時代が古ければ安いというスタンス。
以前、愛読していた漫画『るろうに剣心』を高校時代売りに行ったら、「古いんで、値段つけられませんね。」と突き返された思い出がある。高校生なので、様々な事情によりお金が必要だと判断し、泣く泣く売りに行った漫画が「引き取れない」だと。店内で「いや!ちょっと待って!これ『るろうに剣心』だよ。名作だよ!」と暴れた記憶が懐かしい。
とにもかくにも、物の価値だなんて人によって変動しうるものであり、その価値がイコールお金と変換されることが一般的なのだなあ、という思いを再確認した。

さてさて、今回のレビュー構成は、

①ツッコミどころとは?
②ツッコミどころから生じた疑問

以上、2点でレビューを行っていくこととする。


ツッコミどころとは?
「幽霊がなぜ現実のものを触れるのか?」や「黒ひげがスティーブと離れることができない、といいながら、割と自由に色々なところに行っていた」などのツッコミはここでは置いておこう。これらも十分ツッコミながら観るのも楽しいのだが、それを言い出したら、物語が破たんしてしまうので、そこは今回は置いておく。

管理人にとっての本作での最大の笑いのシーンは陸上競技会のシーン、カジノでのシーモアとの最終決戦であったのだが、これらのシーンには同時にツッコミたい事柄も多かった。
まず、笑えたのは、黒ひげがスティーブ以外には見えず、そして現世のものも触れるということを使って、怪力黒ひげが弱小陸上部のお手伝いをするところである。
例えば、砲丸投げでは投げた砲丸を黒ひげがキャッチしてそのまま持って走るというシーン。
当然まわりには見えないという設定なので、砲丸だけが妙ちくりんな動きをしながら飛んでいくのだが、このような感じで20分くらいずっと進行していくのである。テンポがいいというかなんというか。

さて、これらのシーンを含め全編でツッコミを入れたいことを箇条書きで書いてみる。

・女教授が金に目がくらむところ
・あれだけ悪人だと言っていた黒ひげがあっさり「いいこと」をしようとすること
・あれだけズルは駄目だと言い張ったスティーブがあっさり黒ひげの助けを借りるところ
・結局、賭けに勝てば良し、賭けに敗ければダメという子孫と女教授の反応
・いいことが「犬をなでること」「老人を助けること」って?

とりあえず、これらにしておく。
では、これらのツッコミから考えたこと、疑問に思ったことを次に述べることとする。


ツッコミどころから生じた疑問
あくまで本作は子供向けであったと考えられること、そして物語自体の矛盾点などを述べたいわけではないことを明示しておきたい。矛盾点などもツッコミという楽しい観方につながるので、そこはOK。
ただ、ここで考えたことは、この映画を観た子供たちがどう思うのか、また、この映画が作られるにあたっての背景ってなんだろう?ということである。

上のツッコミ箇条書きにも書いてあるが、全体的に感じた疑問は、
「勝った方が正義、負けた方が悪だという認識?」
「金に目がくらむ女教授たちって?」
「いいことってそれか?」
「これがアメリカなのか?」
といったこと。

黒ひげが勝手にゴドルフィン大の優勝に金を全額賭けてしまうのだが、当然負けるものだと思っている女教授は、最初激しく怒るのである。しかし、黒ひげのおかげで優勢にまわると異様なほど喜ぶのである。更には、最後のカジノのシーンにいたっては、どんどん賭けに勝っていくのを自分の才能だと思い込み、「もっともっと賭けよう」「もっと儲けよう」と目の色を変えるのである。それまであんなに必死にホテルの存続を守ろうとしている女教授であったが、夜中の12時までに借金返済しないといけないことを忘れて、賭け事に必死になってしまうのである。

結局、「勝った方が正義、負けた方が悪」なのである。そう描かれているようにしか思えなかった。
それについては現実的なことかもしれない。
しかしながら、「勝つ=金を儲ける」を感じずにはいられなかった。
更に、この映画においてそのストッパーとして振る舞っていたスティーブを放っておけない。
黒ひげがズルをして陸上部を優勝させることを断固として反対していたスティーブ。
「この試合に勝つことが陸上部の連中にとっていいことなのか?これ以降の彼らのことを考えるとそれは間違っている!」
とまで言うスティーブだが、最後の優勝が決まるリレーでは満面の笑顔で、「いけ、走れ!」というのだが、それも黒ひげ様の一助があってのこと。
ストッパーのスティーブでさえも最後は黒ひげのズルに加担し、賛成するのである。

従って、本作を観た子供は、とりわけアメリカの子供は、何を考えるのだろうか?という疑問が生じた。
何にも考えずに笑える面白い映画として観たとしても、このストーリーに含まれることをどう感じたのだろうか?
子どもだって、女教授の強欲豹変ぶりにはツッコミを入れたかもしれないが、本作に含まれる「当たり前のこと」は疑わなかったのではないだろうか?
例えば、ストッパーのスティーブンの態度が「人生ではこれが大事!」と主張していたとしても、最後に「勝つ=正義」に浸食されていくサマを見せつけられれば、「ああ、結局、勝てばいいのね、金なんだね」と思うのでは?
別に教育番組を作れ、などと言うつもりはない。
曲がりなりにも、最後に黒ひげが語るシーンに観られるように、「必ずしも悪人と呼ばれる人が悪だとは限らないし、場合によっては善も悪もひっくり返る」みたいなことが主張したいことであったとするならば、尚更、スティーブの変化、女教授の豹変は、むしろ逆の結果を生み出すような気がしてならない。
「俺たちはコメディ映画の中でいいこと言ってますよ。」というスタンスの中にある前提の「いいこと」に疑問を抱くのである。

つまり、これを作った1968年当時のアメリカ合衆国において、これが当たり前だったのか、という点が気になるのである。
スティーブが黒ひげに「何かこれまでにいいことはしたことがないのか?」と聞くシーンがある。
何にもしたことがない、と言う黒ひげにスティーブは、

 犬を撫でたことは?
 老人を助けたことは?

と聞くのである。
「弱者を憐れんだこと、助けたこと=いいこと」の気がしてならない。
これが68年当時のアメリカ合衆国の「いいこと」だったのだろうか?
これを観る子供たち、そしてこれを作った製作サイドがともに、「老人=弱者、そして弱者は助けなければならない」という前提を持っていたのであろうか?
「弱者」だなんて言葉はあくまで「社会的弱者」として勝手に決めつけられた言葉に過ぎないだろうに。

管理人は常々、
「勝手に弱者と決めつけておきながら、勝手に助けなければならない人にする」
という近代社会のシステム(これを近代社会だなんて一括りにしていいものだろうか?)が嫌いなのである。
まさに本作はそれを表出しているような気がして、考えさせられたのであった。


おわりに
本作が、刷り込みとまでは言わないし、プロパガンダとしてこの映画が振る舞ったとも言わない。
ただ、本作が子供向けであったことからも、製作サイドが「子供向けでわかりやすく面白くちょっとはいい話にしよう」と考えていたことが尚更、当時の「当たり前」を表現しているような気がした。
アメリカ文化に詳しくはないが、当時の「当たり前」を疑うことを示唆している映画なのではないだろうか。
ひいては、今の世の中に蔓延している「当たり前」を疑うことを忘れないでいたい、とも思った。

昨今の大人気海賊漫画にも登場している黒ひげ、そして「勝ったものが正義だ!(ドン!)」と語られる見せ場のシーンはかなり本作に共通していることに思えた。
昨今の大人気海賊漫画について一言述べるならば、少年時代より見続けてはいるが、管理人はそんなに好きではないのである。
「一見、悪だと思えるものを使って、悪ってなんだ?善ってなんだ?」というのはいいが、どうもそれ自体がテンプレート(当たり前)となっているような気がしてしまうのである。
ま、ひねくれた性格であり、とりわけ人気なものには懐疑的になるタチなので、そんな言い方にはなるのだが…
そしてなんだかんだと読み続けているわけだし…

横道にそれたが、本作は、抜群に笑える映画でもあるのである。
テンポ、ちゃちな合成(この努力にはもちろん拍手している)、コミカルな音楽、単純明快なストーリー、単純明快な身代わりの速さなどなど。
だからこそ、笑える楽しさに見落とされた、気付かぬうちに入り込んでくる「当たり前」が怖いと感じた初鑑賞であった。

youtubeより動画を貼っておく。
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