ちょい若おやじの映画と読書の記録

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映画レビュー#33 ダンサー・イン・ザ・ダーク [洋ドラマ]

2014.10.11 (Sat)

ダンサー・イン・ザ・ダーク(Blu-ray Disc)ダンサー・イン・ザ・ダーク(Blu-ray Disc)
(2012/12/21)
ビョーク、カトリーヌ・ドヌーブ 他

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[説明]
公開:2000年9月8日(デンマーク) *日本公開:2000年12月23日
上映時間:140分
原題:Dancer in the Dark
監督:ラース・フォン・トリアー Lars von Trier
脚本:ラース・フォン・トリアー Lars von Trier
出演:
ビョーク Björk ― セルマ Selma Ježková
カトリーヌ・ドヌーヴ Catherine Deneuve ― キャシー Kathy
デヴィッド・モース David Morse ― ビル Bill
ピーター・ストーメア Peter Stormare ― ジェフ Jeff
ジャン=マルク・バール Jean-Marc Barr ― ノーマン Norman
ヴラディカ・コスティック Vladica Kostic ― ジーン Gene
カーラ・シーモア Cara Seymour ― リンダ Linda
ジョエル・グレイ Joel Grey ― オルドリッチ・ノヴィ Oldřich Nový
ヴィンセント・パターソン Vincent Paterson ― サミュエル Samuel
ジェリコ・イヴァネク Željko Ivanek ― 地方検事 District attorney
シオバン・ファロン Siobhan Fallon ― ブレンダ Brenda (女刑務官)
ウド・キア Udo Kier ― ポーコルニー医師 Dr. Pokorný
ステラン・スカルスガルド Stellan Skarsgård ― 医師 the doctor
音楽:ビョーク Björk

出典:エンドクレジット、 wikipedia ダンサー・イン・ザ・ダーク , Dancer in the Dark

[あらまし]
―1960年代アメリカ―
チェコからの移民セルマは工場で働きながら、息子のジーンと2人で暮らしていた。彼女は先天性の病気で視力が失われつつあり、それは遺伝性のもので、いずれそれは息子ジーンにも同じことが起きることを意味していた。彼女は、毎日工場で働き、内職をしてはお金をこっそり貯めて、それをジーンの目の手術代に使うつもりでいた。
また、彼女は音楽やミュージカルが大好きで、地元のミュージカル劇団にも入っていた。彼女の周りに溢れる日常の音のすべてが、彼女にとってはミュージカルの音楽となっていた。そのため、しばしば、彼女は妄想の世界に浸ることも多く、それが彼女の心の救いであるとともに、工場での仕事に影響を及ぼすものにもなっていた。
そんな彼女の周りには、優しく彼女に接する人々も多く、彼女は何とかあと少しで、手術代を貯金するところまで来ていた。しかし、彼女の友人であり、大家さんでもある警察官のビルから、お金を貸してほしいと相談を受ける。彼の嫁は消費癖があり、それを止めることができないビルはセルマに相談を持ちかけたのだ。そしてビルに貯金をしていることをセルマは明かすのだが、途方に暮れたビルはついに、セルマのお金を盗んでしまう。
そして、セルマはビルと口論になっているうちに、ビルの拳銃が暴発し、ビルに当たってしまう。不本意でありながらも、ビルは彼女に「すまない。俺を殺してくれ。」とセルマに自分を殺すようにお願いする。しかしながら、事件の証拠としては、視力がなく移民であるセルマがビルを殺したものと一方的に判断するものばかりが出てきてしまい、彼女は死刑判決を言い渡されてしまう…

カメラは全て手持ちで撮影されており、妄想と現実の映像カラーを明確にわけるなど、「ドグマ95」という技術的な手法を提起したラース・フォン・トリアー監督による作品。そして目の見えないセルマを歌手であるビヨークが演じる。そしてどこかの映画で観たことのある役者さんたちが脇を固めている。物語、そして映像含め、様々な問題を提起した作品?!
(文責・管理人)


[レビュー]
本作は、死刑制度について興味があることを知った管理人の知り合いが紹介してくれた映画。
ちなみに、死刑について想起させられたことを書いたレビューが、
書籍レビュー#3 少年死刑囚 [小説]
である。

この映画を観終わって、率直に何を書いたらいいのやら悩んでいるのが本音である。
それは本作の監督の手法であったり、物語の結末であったりするのだが、とりあえず初鑑賞を通して感じたことを書いていくことにしよう。

従って、今回のレビュー構成は、

①映像手法についてほんの少し ―「ドグマ95」とそれへの感想
②セルマの最期
③死刑の描かれ方

とりあえずこの3点にしておきたい。
整理しきれない思いも多く、今回は軽めに…


映像手法についてほんの少し ―「ドグマ95」とそれへの感想
全編、カメラは手持ち。そして、セルマの妄想シーン(ミュージカル)は鮮やかな背景色を使用。
これはこの映画の手法としては気付きやすいものだろう。
鑑賞後、監督のラース・フォン・トリアーについてwikipedia ラース・フォン・トリアー で調べてみた。
どうやら、彼は、「ドグマ95」という映画を撮る上での技術的なルールを提唱しているらしい。
そのドグマ95については、前衛的すぎて、当初は批判されていたようだが、その手法を取り入れる監督も出てきているようで、実際に本作のようにカンヌなどで賞を受賞するようなど、一部の中では評価されているようだ。
ちなみに、ドグマ95の基本的なルールをwikipediaドグマ95 より引用する。

 「純潔の誓い」
 ・撮影はすべてロケーション撮影によること。スタジオのセット撮影を禁じる。
 ・映像と関係のないところで作られた音(効果音など)をのせてはならない。
 ・カメラは必ず手持ちによること。
 ・映画はカラーであること。照明効果は禁止。
 ・光学合成やフィルターを禁止する。
 ・表面的なアクションは許されない(殺人、武器の使用などは起きてはならない)。
 ・時間的、地理的な乖離は許されない(つまり今、ここで起こっていることしか描いてはいけな
  い。回想シーンなどの禁止である)。
 ・ジャンル映画を禁止する。
 ・最終的なフォーマットは35mmフィルムであること。
 ・監督の名前はスタッフロールなどにクレジットしてはいけない。


細かいことはよくわからないが、本作では、この提唱者である監督はこの手法を多く使っているのだろう。

さて、この手法において、全編手持ちカメラであったことについて、管理人としては違和感を感じた。
もしかしたらこの違和感が狙いなのかもしれないが…
手持ちカメラであったため、まるで、その現場に第3者がいるかのように感じた。
「傍観者」とでもしておこうか。
だから、セルマしかいないシーンであっても、まるでそれを観ている人がいるかのように感じたし、それをセルマも「撮影されている」ように思っているかのように感じた。

管理人なりに解釈してみると、この「傍観者」という感覚を感じたことで、映画というものがどこまでも虚構なものであり、「真実」というものに絶対的な普遍性がないことを示しているのではないか、と。
それを提起している点で、この手法が使われているのではないか、と考えた。
管理人もそれは感じていることなので、興味深い手法だと感じた。
是非はともかく、この試みは面白いものではないかと思う。

次に、妄想シーンだけ、色鮮やかな背景を用いていたことについて。
これのおかげで、セルマの心情が鮮やかに描かれていたように感じたし、そして、死刑判決を受け、刑務所で換気扇から聞こえてくるかもしれない音楽に耳をすませているシーンが面白いものになっていたのではないかと思う。
多分、最後の換気扇のシーンは、妄想ではない。
そのシーンまでは、ミュージカル=妄想であったが、ここではセルマの「鮮やかさ」とは逆の「苦悩」のようなものが、描かれるという意味で妄想シーンではなかったように感じた。
合っているかはわからないので、もう一度細かく背景色が色鮮やかにならなかったのかを見る必要があるが…


セルマの最期
セルマは結果的にビルを殺してしまう。
そのいきさつについては、ビルが完全に悪い奴だとも言い切れない。
ビルにも同情の余地があったように思えた。

むしろ、セルマが「強盗殺人事件」の容疑者として検挙されてからの、セルマの行動には考えさせられるものがあった。
それは、彼女がビルとの沈黙の約束を守りぬいたこと、息子との面会シーンが一度もなかったこと(つまり、息子の心情が描かれなかったこと)、セルマのことを愛していたジェフとの面会、キャシーとの面会などなど。
とりわけ、ぐっときたのが、女刑務官とのやりとりだ。
実際の死刑囚と刑務官のやりとりがどのようなものかは知らないし、日本と海外での獄中での違いは知らないので、あそこで描かれた関係性の正否はわからない。
女刑務官が「息子を持つ母親」ということで、共感性を感じ、セルマと近づいていくわけだが、そこで見せる女刑務官の表情が素晴らしかった。「傍観者」である観客はその様子が見て取れるのだが、セルマからは女刑務官がどのような行動をしているのかはわからない。
事件の〈真実〉の是非は女刑務官にとっては彼女の仕事の範疇ではないと思っているようだったが、彼女はセルマに対して、「死刑になるのはおかしいのでは?」といった思いを感じつつ、でもそこは仕事として「考えない」ようにしているようにも見えた。
だから、最後に「死刑は延びたわよ」と彼女を抱きしめるシーンには、女刑務官が色々な葛藤や苦悩を感じているようで、観ていて感動するところはあった。


死刑の描かれ方
さて、死刑がどのように描かれていたのか。
まずは、簡単に整理してみたい。

 ・「殺人」に至るまでの彼女の様子が描かれている
 ・裁判のシーンが描かれている
 ・刑務所に服役しているシーンがある
 ・面会人とのやりとりがある
 ・本作では死刑の執行(絞首刑)のシーンまで描かれている。

といったところだろうか。
なぜ、簡単に整理してみたかと言うと、本作は比喩や暗喩としてではなく、死刑のシーンを描いているという点で管理人の参考になっていると思われたため、今後、死刑に関わる映画を観た時にどのように描かれているかの参考にしたかったためである。

さて、死刑執行のシーンについてだが、
死刑執行場まで連れて行かれるシーンから描かれており、そこがセルマの妄想シーンで構成されている。少しでも、気持ちを楽に、そして自分の足で歩いてもらうように、という女刑務官からの願いの顕れであると思うが、これまでに「妄想シーン=セルマの心の支え」を描いてきたからこそ、映えるシーンであったように思う。

この死刑執行において、更にどう描かれていたか、箇条書きにしてみる。

 ・一般人が執行を見ている
 ・絞首刑である
 ・顔を覆う布を取る許可がでる
 ・執行のレバーを引く人間が1人(?)である
 ・急に執行される(執行の時間通りに執行される)
 ・見送りに来ていたキャシーがジーンのメガネを渡す
 ・執行後、カーテンで一般人から見えないよう隔離される
 ・執行後すぐに医師が脈をとりに行く

とりあえず観ていて気付いたところである。
死刑執行の様子を細かく知らないので、実際との比較がどうなのかは言えない。
恐らく、今では、執行のレバーは3人の刑務官がランダム信号で送られるスイッチを押すはず。
それほど、執行する刑務官の精神にも大きな影響を及ぼすシステムであろう。

また、時間通りに執行するということは、布で覆い隠された死刑囚からは、急に執行されるということを意味しているのだろう。本作では歌を歌っている途中であったが、その瞬間を思い浮かべると、もし実際の現場に居合わせたなら、正直現場を観ていられない。それほど、脳裡に焼付きそうである。


おわりに
実際の死刑執行の現場については、完全に映像などが公表されていないのが日本の現状だと、半年前くらいの夕方のニュースの特集で見た記憶がある。
不透明な世界であり、想像もできない世界であるようだが、まぎれもなく今私たちが生きている世界での出来事なのである。
そんなことを考えた初鑑賞であった。
これからも個人的に「死刑制度」について知りたいと思う。
まずは知らないことには、なぜ自分が「死刑制度に反対」なのかを明確な根拠とともに、自分のものにできないだろう。

映画のテーマ含め、暗い気持ちになりそうな映画ではある。
しかし、ミュージカルのシーンやその音楽は美しく、聞きごたえがあるだろう。
ビョークはアイルランド出身の歌手とのことだが、とても演技が上手だと思った。そして、「この人なんかの映画で見たことあるぞ」という人がたくさん出ていた点でも俳優さんたちの演技を楽しめる映画だと思う。
とくに、ジェフ役のピーター・ストーメアには悪い役のイメージがあっただけに、今回の役柄は新鮮だった。

きっとまた観ることになりそうだ。

ここまでお読みいただきありがとうございました。
重たい気持ちになるかもしれませんが、よかったらレンタルしてみてはいかがでしょうか???
そういえば、いつも借りるレンタル店のイベントで「涙活(るいかつ)」なるものにジャンルされていたけれど、それってどうなのだろうか?
なんか違う気がしますけど〇〇店さん…
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コメント

こんばんは~♪
ラース・フォン・トリアーという男は、
本当に最低の奴(褒め言葉)ですからね!
だいたいドグマ95にしても、
自分で提唱しておきながらそれに従って撮られた作品は、
『イディオッツ』という最低の作品(褒め言葉)一本ですから!
騙されちゃいけません!最低の奴(褒め言葉)なんです!

この『ダンサー・イン・ザ・ダーク』という映画にしても、
見事に彼の最低男ぶり(褒め言葉)が発揮されています。
ボクがこの映画で特筆すべきだと思っているのは、
ミュージカルが現実逃避装置として使われているという点です。
これは実に反ハリウッド的ですよね。
夢のようなミュージカルシーンを本当の夢として描くことにより、
つらい現実との対比の関係に置く。
ハリウッド的ミュージカル映画を小バカにしているわけですね。
ホントに性格の悪い最低野郎(褒め言葉)ですよね!

彼の最低最悪ぶりが発揮されている映画のレビューを、
現在のところボクも一本だけ書きました。
興味があったらのぞいてみてください♪
http://spikerod.blog.fc2.com/blog-entry-43.html
Re: こんばんは~♪
スパイクロッドさん、コメントありがとうございます。
「最低の作品(褒め言葉)」
この表現、笑っちゃいました。
この言葉がお似合いだと思うし、本人こう言われたらけっこう喜びそうな気が…笑

『イディオッツ』については、今回彼について調べているうちに知りました。
かなりのものみたいですね。
いつか見つければみたいですが、日本ではさすがにDVDにもなっていないようで…
『愛のコリーダ』みたいなようですが、色々と物議をかもしたのでしょうね。

> ボクがこの映画で特筆すべきだと思っているのは、
> ミュージカルが現実逃避装置として使われているという点です。
> これは実に反ハリウッド的ですよね。
> 夢のようなミュージカルシーンを本当の夢として描くことにより、
> つらい現実との対比の関係に置く。
> ハリウッド的ミュージカル映画を小バカにしているわけですね。
> ホントに性格の悪い最低野郎(褒め言葉)ですよね!

なるほど。
確かに、本作におけるミュージカルの使い方はまさにそうなのかも、と思いました。
あまり沢山ハリウッド的なミュージカルを観ていないので、私は何とも言えませんが、確かに、と思い浮かぶハリウッド映画がいくつか思い浮かびます。

> 彼の最低最悪ぶりが発揮されている映画のレビューを、
> 現在のところボクも一本だけ書きました。
> 興味があったらのぞいてみてください♪
> http://spikerod.blog.fc2.com/blog-entry-43.html

拝読させていただきました。
ウィレム・デフォーなんですね。
その時点で一癖も二癖もありそうな映画だと思いました。
監督の人生経験がかなり「逸脱」したものであるみたいですが、それらがかなり色濃く反映されているのでしょう。

紹介ありがとうございます!
手にしてみようと思います。
No title
この作品、10年くらい前に観たので
正直細かいストーリーは覚えていませんが
「絶望」という印象だけ残っています。
それと、この作品でビョークが好きになり
CDを買い求めました。
そのCD、今どこかいっちゃって手元にないけど
たまにラジオでビョークの歌が流れると
う〜ん、やっぱりいいわ〜♪と思います。
ビョークとの出会いを生んだ懐かしい作品です。
Re: No title
さとちんさん、コメントありがとうございます。
「絶望」
まさにそんな感じです。
『チョコレートドーナツ』とはまた少し異なりますが、同じような感覚を抱きました。

ビョークいいですよね~。
それ、CD見つかるといいですね!
彼女の歌声もいいし、笑顔が素敵だし。

ああ、ビョーク、ハマりそうな気配です…
アンチクライスト
アンチクライスト!

「拝読させていただきました。
ウィレム・デフォーなんですね。
その時点で一癖も二癖もありそうな映画だと思いました」

ありそうです!ありそうです!ははははっ

スパイクロッドさんの「女性のみなさん、許してください」に対して許せるのか、そして、ウィレムデフォーの一癖二癖も確認するべきでもあり、

アンチクライスト、観なくちゃ!!!

あ、ごめん、ダンサーインザダークだった。

あれはドグマ95?はじめて知りました。ありがとうございます。随分昔に観たこの映画ですが、そんな感じでした。うんうん。違和感、狙っているんですかね。

ダンサーインザダーク、もう一度観なくちゃ!!!

ああ、また観るべき映画が増えた。

ありがとう
Re: アンチクライスト
レインボウさん、コメントありがとうございます。
『アンチクライスト』興味深いですよね。

ぜひ、どちらも観てみてください!(まだアンチクライスト観てないですけど。笑)

レインボウさんは彼の作品から何を感じ取るのかしら???
感想楽しみにしています!

コメントありがとうございますm(__)m
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