ちょい若おやじの映画と読書の記録

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書籍レビュー#3 少年死刑囚 [小説]

2014.10.03 (Fri)

少年死刑囚 (インパクト選書 6)少年死刑囚 (インパクト選書 6)
(2012/04)
中山 義秀

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読んだ日:2014年9月29日
[説明]
出版日:2012年4月
著者:中山義秀
解説:池田浩士
発行:インパクト出版会(公式サイト)
初出:
前篇;『別冊文藝春秋』第十四号(1949年12月、文藝春秋新社)にて発表。
後篇;『文學界』第四巻第八号(1950年8月、文藝春秋新社)にて発表。
作品集『少年死刑囚』(1950年11月、文藝春秋新社)に他の小説六篇とともに所収。
*インパクト出版会発行の本書はこの作品集の初版本を底本としている。

出典:本書奥付、本書凡例

[本の帯より]
死刑か、無期か。
翻弄される少年殺人者の心の動きを描き、
刑罰とはなにかを考える。

[目次]
*「インパクト出版会>書籍目録>少年死刑囚」にて閲覧可能なため当ブログでも掲載する。
 少年死刑囚・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・中山義秀 5頁
 『少年死刑囚』はいま何を問うているのか?―解説にかえて・・・池田浩士 92頁


[レビュー]
なお、今回以下のレビューにおいて、『少年死刑囚』及び【解説】から引用をつける際に留意した点について先に述べておきたい。
この引用などにまつわる著作権法についての知識が正直弱いので、「わからないなら引用しない」という手段をとりたいところが本音である。しかしながら、以下に述べる事柄において、間違いなく本書から感銘を受けた点についてであるため、その体裁を保つ以上、引用をしたいというのも本音である。
「わからないことに自分で線引きをすると痛い目にあったときが怖い」という感覚から、著作権法をひっぱってくるのは無意味かもしれないが、一応、引用にかかわる著作権法をどう解釈したか述べておきたい。
著作権法第32条第1項によれば(電子政府の総合窓口e-Govより)、公表された出版物に引用をする際には、
 
 ①公正な慣行に合致すること
 ②正当な目的(報道、批評、研究その他)の範囲内であること

とのこと。
「慣行」にしても「正当な目的」も抽象的で無学の管理人にはわからないので、何とも言い難い。
当ブログは管理人にとっては、重要な経験としての「研究」であり、正当な目的になるのだが、もしかしたら、大学や研究所における「研究」が対象とされているかもしれない。

また、あれこれ調べていると、あのセコムトラストシステムズ株式会社の公式HPに掲載されたコラムの「第1回 ブログを書くときに知っておきたい、著作権に関する知識」というものに行きついた。
同ページによれば、「慣行」というのは、2~3行の引用であり、その引用の出典を明記することであるらしい。

何か、引用というものは相変わらず、自分ルールの発動であるように思われ、その「自分ルール」と「慣行」とが「大きく」逸脱しない程度で使うしかないようだ。
だから、世間のブログ一般において管理者の方々は大変な思いをしているように思えるし、またその管理者の方々の発動する「自分ルール」についてとやかく物申すことはしない。というかできない。引用の細かな指示が「ポリシー」や「マナー」に依拠していると言わざるをえないと感じたからである。

だから、当ブログとしては、公表された出版物の引用のポリシーとしては、

「文章は2~3行までとし、語句はOK、もちろん引用箇所を明記」
「もし違反申告を著作者本人及び出版関係者代表から妥当な理由を以って指摘されたら、その部分を削除」
「そもそも、できるだけ、引用はせず、感想文にする」
「youtubeの小窓機能などの機能については、fc2ブログで誰もが使える機能だから、OK」

みたいな感じにしておくが、
結局、あれこれ言い出したら、何もできなくなるので、常識の範囲内という何とも抽象的な使用としておきたい。
他力本願はポリシーではないが、法律家の方々、ブロガーが住みやすい環境をよろしくおねがいします!!!
では以下レビューをはじめることとする。



知人に紹介されて、本書の存在を知り、そして読むことになったものである。
紹介の理由として簡潔に述べておくならば、管理人が日頃抱いている疑問や興味の1つである「恩赦」という制度を考えるにあたって、関連性があるのでは、といった参考としての紹介であった。
ここでは、「恩赦」に知識として興味がある、とだけに止めておく。

さて、今回のレビュー構成は、

①体裁
②少年死刑囚たらしめた背景
③何を問題提起しているのか

以上の3点を軸に進めていこうと思う。


体裁
本書は、〈小説〉であるが、実際の少年死刑囚をモデルにしており、ノンフィクションに近いような体裁で物語が進められていく。
一人称は主人公の「私」こと垂井 浩(たるい ひろし)になっており、死刑判決を受けてから、死刑執行が間近であるころに、獄中で記した一篇の手記という体裁が用いられている。
そして、「私」(以下、垂井)がその後どうなったのか、というエピローグのようなものが、作者の視点から語られて本書の幕は閉じる。

この「死刑判決を言い渡しされた(原文では「言渡し」)後に記した手記」であるという点が、本書の提起する問題の所在を補填していると感じられた。
この問題の所在については、後述することとする。

また、このインパクト出版会版において、池田浩士氏による約60頁に及ぶ【解説】が掲載されている。
作者中山義秀がこれまでに執筆してきたものとの比較や本書の実写映画との比較などが解説されており、本書の理解を、文字通り【解説】している。
更に、本書で提起される問題点が何なのか、そして池田氏が何を考えたのか、またそこから何を調べたのかを丁寧に記しており、「調べる」ということを教えてくれているように感じた。
わかっていることを記し、わからないところは「わからない」と記す。
丁寧な足取りは、自身が今後も調べてみたい、という気持ちの顕れであるとともに、その後の研究において足取りがわかることは必須なことである。
当たり前であるようで、なかなか難しいと感じる管理人にとっては、本書の内容を超えて、池田氏の細かな姿勢に感銘を受けたのであった。


少年死刑囚たらしめた背景
垂井がなぜ少年死刑囚となったのか、つまり、なぜ少年時代より窃盗、強盗をはじめとする犯罪から、最終的に、5名の人間を殺害するに至ったのか、そしてなぜ死刑判決を言い渡されたのかについて考えさせられる内容になっている。
はっきり言って、これだ、という明確な理由はわからない。
ただ、確かに一理あるだろうという、要因について考えさせられたところはある。

それは、本書の手記の中で垂井本人が語ることがその原因の1つであると考えられよう。
それは、父親から流れる〈血〉に所以することと、太平洋戦争期における〈時代〉や暮らしてきた〈環境〉に所以するというものである。
これについて、【解説】で池田氏は〈遺伝〉と〈環境〉という19世紀ヨーロッパを席巻した自然主義文学の思想から指摘している(98頁)。

垂井は、父親と母親との間にできた子供ではなく、父親と愛人との間に生まれた子供であり、母を感じたことがなかった。更に、父親は垂井が幼いころに満州に行っており、当時の花柳界(色町)で雑貨屋を営む父方の祖父母の元で育てられている。
また、父親が満州から戻ってきたときに、そこに父親を感じなかったこともあり、ますます垂井は心を預けたいと思うような相手がいなかった。

それを考慮すると、子供の教育という観点から〈環境〉が大きく影響しているように思える。
その〈環境〉というのは、〈愛を受ける環境〉ということになるのだろうか?
確かに、納得することであるし、そうだとも思うが、垂井を見ると、
 決してそれだけが要因ではないのでは?
 〈環境〉を改善させればすむではないか、というわけではない!
といったことを感じる。

本書の冒頭に、

 私は罪業の子である。
 罪の子として生れ、罪の子として育ち、罪の子としてはてる。

  (6頁)

という表現がある。
垂井が少年死刑囚となった背景として〈遺伝〉が1つの要因であるように、垂井自身が感じていることが窺える1つの表現ではないだろうか。
ただし、この表現については考慮すべき点がある。
それは、この表現が書かれているのは、垂井による手記であるということと、垂井が死刑判決を受けた後、浄土真宗に改宗した後に記したものであるという点である。

正解がなさそうなだけに、何が原因で、ではどうすればよかったのか、なんてわかりそうもない。


何を問題提起しているのか
初出が1950年である本書が現代に生きる管理人(たち)にとって、何を問題提起しているのだろうか?
何より感じ取ったのは「死刑囚から無期囚への減刑」という意識が破壊されたことである。
最初に明記しておきたいのは、死刑制度には反対である、ということ。
ただ、「無期懲役になるということ」を考えたことがなかった。

「無期囚が仮釈放できる」という俗説(?)を疑ったことがなかった。
これについては、解説の池田浩士が詳細を補填してくれているので、本編と併せて必読だろう。
法務省保護局「無期刑の執行状況及び無期刑受刑者に係る仮釈放の運用状況について(平成25年10月更新)」のデータを参考に、池田は無期囚の仮釈放というものの現状を述べている。
実際に無期囚が仮釈放の審査を受け、許可された者の平均在所期間というものがどれくらいであるのか。
平均在所期間とは、その許可された者が、どれだけ刑務所に服役していたかの平均である。
平成22年度で「35.0年」というものである。


35年、管理人はこの期間をとてつもなく長く、そして途方に感じた。
その35年という時間でどれだけ、人の精神が壊れていくのか想定できない。
この精神がどのようになるかについても、池田は補足説明してくれている。

言いたいことは、無期懲役の現状を知らなかった、ということ。

小説の中の垂井もまた、衝撃のラストによってそれを体現している。
死刑を受け入れ、死を望むようになった垂井が、恩赦によって無期囚に「減刑」され、再び改宗前の性格に戻った2年後で物語は終えるのである。

だからと言って、死なせてやればいいじゃないか、死刑に賛成だ、と言いたいわけでもない。

いずれにせよ、本書との出会いをきっかけに、そもそも無期懲役を知らなかったこと、そしてそれを踏まえた上で、死刑制度というものについて考えなければならないのではないか、と感じた。

難しい問題である……

そして本書を解説と併せて読めば明らかなのだが、本書の登場人物である垂井にはモデルがいるのである。
そして、そのモデルと考えられる人物は、今なお生きていると考えられる。
どのように生きているのか、現在どうなっているのかは本書を手にとり、眺めてみれば明らかになるだろう。


おわりに
大変、難しい問題をはらんでいるように思える小説である。
そして、同時にその問題を日頃考えることがないであろうが為に、この問題をまた難解なものにしているように思う。
各人の読書の感想は異なるのは当たり前だが、本書をもしも手にするならば、池田浩士の解説のついている、インパクト出版会版の本書をおススメしたい。

最後に、再び明らかにしておきたいのは、本書を読んだうえで、管理人は、

死刑制度には反対だ。だけど、無期囚の顛末がこうなるなんて…。
「死刑から無期刑へ」という減刑と罪の赦しは別次元にあるのではないだろうか?

そう感じたのである。

死刑制度については、様々な団体をはじめ、様々な報道も相まって様々な主張が展開されているのだろう。
その中で本書は1つの論点を提起しているのではないだろうか?
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コメント

大作にて5回読む
若っ!
あ、失礼、ちょい若おやじさん!

大作ですね。
若の熱意がパソコンからアタシに向かって暴風雨となってやってきて、めまいがしたので、5回ほど読んでみました。休み休み。

非常に難しい問題のようで、その本を読まないで安易なコメントはできないと思われますが、無期懲役の現状とは何なのかと心を突かれました。加えて、死刑制度については様々な意見があるところだと思われ、

なんとも言えない・・・・

読んでみようかな・・・・
でも、読むのには勇気がいりそうだ・・
Re: 大作にて5回読む
レインボウさん、コメントありがとうございます。
5回も目を通していただきありがとうございます!

死刑制度に関しては、レインボウさんのおっしゃる通り、沢山の問題や沢山の見解があるのかと思います。

こうしてレインボウさんが日頃考えないようなことを考える機会を提供できたとすれば、大成功です。笑
私もですが、日頃考えないことを何か考えるという機会は大切に思っています。

「若」なんかありがたいです。
そう読んで頂いてうれしいのと面白さを感じます。
仮名にあだ名ができるのは何か面白さを感じます。
それに、「若」の方が打ちやすいと思うので、今後もそちらでいいですよー^^
若っ
それでは、今後「若」と呼ばせていただきます。嬉しいです。ありがとうございます。

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