ちょい若おやじの映画と読書の記録

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映画レビュー#19 シコふんじゃった。 [邦コメディ]

2014.08.25 (Mon)

シコふんじゃった。 [DVD]シコふんじゃった。 [DVD]
(2006/10/20)
本木雅弘、清水美砂 他

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[説明]
公開:1992年1月15日
上映時間:105分
監督:周防正行
脚本:周防正行
出演:
本木雅弘 ― 山本秋平
清水美砂 ― 川村夏子
竹中直人 ― 青木富夫
水島かおり ― 朝井知恵(キャスター)
田口浩正 ― 田中豊作
ロバート・ホフマン ― ジョージ・スマイリー
宝井誠明 ― 山本春雄
梅本律子 ― 間宮正子
柄本明 ― 穴山冬吉
六平直政 ― 熊田寅雄(OB)
松田勝、宮坂ひろし、村上冬樹、片岡五郎、みのすけ、他
音楽:周防義和
主題歌:おおたか静流「悲しくてやりきれない」「林檎の木の下で」
配給:大映
出典:エンドクレジット、wikipedia シコふんじゃった。

[あらまし]
教立大学の4年生の山本秋平は、遊びサークルで4年間を「大学生らしく」過ごし、就職も伯父のコネで内定が決まっていた。しかし、卒業論文担当教授の穴山に呼び出され、「このままでは単位はおろか、卒論もOKを出せない」と告げられる。穴山の出した条件は、穴山が監督を務める弱小相撲部への臨時入部であった。穴山を慕う大学院2年生の女性である川村夏子にも「男なら一肌脱いだら。」と言われたこともあり、部員1名の相撲部の部員確保のために臨時入部を決める。
教立大学相撲部はかつては強豪相撲部であり、監督の穴山も現役時代は大学横綱にまでなった男であった。しかし、現在では、大学8年生の青木富夫ただ1人。しかも青木は相撲をこよなく愛するが、1度も勝利をしたことがなく、緊張すると「下痢ピー」になってしまう小心者であった。そして試合に出ないと運動部としての実績がないため常に廃部の危機にさらされていた。「うちの学生に相撲を好きでやりたがる奴はいない」(穴山)とあるように、相撲部の人気は全くなく、相撲に対する知識も薄いのが現状であった。何はともあれ、青木、秋平に加え、デブで運動音痴の田中豊作、秋平の弟で男らしくなりたい(夏子目当てである)春雄が入部し、一応試合に出場することができた。しかし、3部リーグの弱小チームすべてに完敗し、OB会からは「情けない、こんな連中を無理して集めて部を存続させる意味があるか!」と部員、穴山ともに厳しい言葉を投げつけられる。それに怒りをあらわにした秋平は「勝てばいいんだろ!」と喧嘩に買ってしまい、結局そのまま全員相撲部に籍を置くこととなる。強力な助っ人として、英国からの留学生であるスマイリーを宿代、食事代を負担することで入部させるが、スマイリーは「まわしでお尻を見せる意味がわからない」「伝統的な様式だから、という理由はおかしい」などと当初は相撲自体には懐疑的な立場をとる。また、教立大学相撲部のTV出演をきっかけに、春雄に恋をした巨漢の間宮正子がマネージャーとして入部をした。
3ヶ月後の公式戦に向けて穴山監督の実家で夏合宿を行うことになるのだが、そこでの練習は「食べてゴロゴロ寝ること」であり、一向に相撲の練習は行われなかった。相撲を未だに好きにはなっていない秋平は、わずか3カ月で強くなれない、とゴロゴロし続けるが、これまでの人生で友達のいなかった田中は少なからず相撲にやりがいを感じるようになっており、独り黙々とシコを踏み続ける。そんな姿を見た穴山の計らいによって、部員たちは地域のわんぱく相撲の選手たちと練習試合をすることに。そして、その試合から少しずつではあるが、部員たちの中で相撲に対する想いが変わっていくこととなる・・・。
(文責・管理人)

[レビュー]
前回、映画レビュー#18 ファンシイダンス のレビュー記事を書いたわけだが、本作はその周防監督チームの第2弾作品である。
『ファンシイダンス』も面白かったが、本作では更に、登場人物に対する細かな設定やそれを引き出す俳優たち、本気の相撲、そしてその演出などなど、グレードアップしているような印象を受ける。
つまり面白い

本作は管理人にとっては少年時代の思い出の映画でもある。管理人はわんぱく相撲経験者であり(わりと全力だった)、親に連れられて相撲部屋にも何度も通ったことがある。

従って、今回は、本作の登場人物の相撲への心情の変化の整理、正子の相撲のシーン、カメラ演出、そして最後に管理人と本作の思い出について少し語ることとする。

登場人物の心情の変化について
本作の主人公は、本木雅弘演じる山本秋平である。秋平は大学生活を満喫しており、おそらくサークル活動で飲み会やら旅行やらと楽しく友達や女と遊ぶためだけに大学に来ているような男である。しかも内定もコネで決まっていて一流企業への就職が決まっていた。相撲部に入ったきっかけも卒論担当教授穴山の条件であり、しかたなくであった。

竹中直人演じる青木は、こよなく相撲を愛する男だが、体格が小さいから、とこれまでの人生ずっと相撲をとることはなかったわけだが、大学4年時に穴山に誘われ入部し、部の存続のために4年間も留年している。いばりちらしたり、強がったりするのだが、実際は小心者であり、緊張すると「下痢ピー」になってしまう。もしかしたら、留年も「相撲を理由にしている」だけなのかもしれない。

田口浩正演じる田中は、青木、秋平に無理やり勧誘されたことで入部したわけだが、デブで運動音痴で友達のいなさそうなダサい男である。体は大きいのに、ガリガリの選手に簡単に負けてしまうなど、彼が内気で闘争心のかけらもないことが表現されている。

宝田誠明演じる春雄は、「男らしくなりたい」と大学プロレスに参加しているところを夏子に相撲部に誘われたことで入部する。夏子目当てで入ってきたことが明らかであるがミーハーなところがあって、当時若鷹兄弟の流行もあり大相撲が流行していたからという安易に「相撲なら男らしくなれるかも」という解釈もしている。大相撲と実際に相撲をすることの違いなどはさらさら考えていない。

ロバート・ホフマン演じるスマイリーは英国人留学生。本作において、「日本人」とは対照的な「欧米人」という役割をもっている。日本という国や文化に魅力を感じているために留学してはきているのだが、何も考えずに様式に従い、物事の本質をつかまない「日本人」はおかしい、という感覚ももっている。相撲に対しても同様に、様式にこだわる点に懐疑的であったり、肉体的に強ければ勝てる、という持論も持っている。

そんな彼らが、夏の合宿を契機に大きく変わり始めるのである。

秋平は結論から言うと、内定を蹴ってまで留年し、相撲部に残るほど相撲が人生にとって重要なポジションになる。相撲部として皆と過ごした日々は彼の人生にとって初めて何かに全力で取り組んだ日々であった。まわしをしめるという彼にとってプライドを捨てるところから始まり、弱そうな奴らに負け、小学生にも負け、大人たちから嘲笑われる中で、土だらけ汗だらけになりながら稽古をつみ、一致団結して相撲の団体戦で臨む経験を通して得た充実感であった。

青木は皆が合宿を境に少しずつ変わる中、相変わらずの緊張男のままであったが、公式戦で偶然にもその「下痢ピー」のおかげで勝利をつかむことができる。このたった1度の、どんな形であれの勝利が彼の自信へとつながる。そして自信をもって大学を卒業することができたのである。

田中は、生まれて初めて人に頼られた、ということで教立大学相撲部という存在、相撲という存在が自分の人生にとって大切なものであるように感じるようになる。そして夏合宿で彼は穴山に「立ち合いが恐いなら目をつむってぶつかれ」という指示を受け、その通りに次々と試合に勝てるようになる。しかしながら、強豪の相手にはそれは通用せず、目をつむっているがために相手にかわされて負けてしまう。そして遂に、彼は人生ではじめて相手を睨みつけて、しっかりと相手の目を見て闘争心をむき出しにするのである。この田口浩正の目がかなりいいのでここは要注視。周防監督はこのカットを何度も撮り直したらしく、OKテイクも満足してはいなかったっぽいようだが。

春雄は、合宿中に夏子に告白するがフラれてしまい、それ以降、気合い入りまくりのがむしゃらさを見せるようになる。それは夏子への怒りや夏子を忘れるための逃避だったのかもしれない。しかしながら、その闘志を買われて、団体戦の先鋒を任されるようになり、純粋に勝つことへの楽しみを見出していく。そしてなんと言っても、正子の存在が大きかった。当初は巨漢の正子を何とも思っていなかったが、自分が骨折してしまった変わりに女性の正子ふが試合に出たことで、更に春雄の心は動かされる。甘いマスクで女性に「キャーキャー」言われ、美人という理由で夏子に惚れていた春雄は正子のひたむきさやそのガッツに魅力を感じるようになる。一緒にロンドンへの留学を決意したこともそれを表している。

なお、正子の相撲については触れるべきなのでまた後で・・・。

スマイリーは、合宿中のわんぱく相撲との試合でに敗れる。力だけでは勝てないことを知り、相撲の面白さを感じるようになる。ただ、どうしても、まわしの下のスパッツをはずすことはなく、公式戦ではずっと不戦勝が続いていた。しかし、皆が全力で試合をする姿を見て自分の中にある羞恥心を捨ててスパッツを脱ぐのである。
単なる様式だと馬鹿にしてきた相撲が面白いものになっていた上に、恥ずかしいという理由で一緒に頑張ってきた仲間を裏切るわけにはいかないという責任感や自分が全力で学ぼうとしてきた相撲の成果を試したかった気持ちが勝ったのかもしれない。

正子の相撲のシーンについて
これはかなりすごいシーンである。このシーンは本作でかなり重要なものであると思うし、このシーンのために本作を観てもいいのではないだろうか。今でこそ、女性力士なるものがあるが、それもさすがに、レスリングのユニフォームのようなものを着た上でのまわしである。しかし、正子を演じた梅本律子は、胸だけさらしで隠して後は裸のまま、まわしを着けて土俵にあがるのである。役者根性も本当にすごいが、彼女が相撲をとっているのを応援している周りの演者たちの表情が実にいい。
DVD版に付属されていた、竹中直人と田口浩正のインタビューでも語られていたが、当時の撮影の雰囲気として本当に相撲部に入っているような感覚で撮影をしていたようで、皆全力で稽古をしたり、撮影をしたり、と役の外でも団結が生まれていたらしい。それだけに梅本が試合をしている姿には本当に「正子が試合をしている」といった感覚で心の底から応援していたと言う。そしてそれが感じ取れるような表情を役者たちは浮かべていた。
そしてそれは「男だから」とか「女だから」とか、そういった性別を超えた、「全力でいいものを作りたい」という気持ちが作りだしたものであるように感じた。「男の闘い」であり土俵に女性が上がることは許されないなど、性別差別が強いように思える一方で、この正子の土俵入りはそれを超越したものであったかのように感じられた。

カメラ演出について
そんなに映画の演出に詳しいとは言えないけれど、「おお」と思った手法(?)を2点書いておく。
1つは、相撲部の入り口を映す角度や距離感が所々同じであるということだ。それによって、映画の時間の流れや気持ちの変化がわかりやすいように工夫されているように感じた。
次に、相撲の取り組みについては、随所に足元のみを映すカットがある。足元しか映していないのに、迫力があるし、相撲のバランスが大切であるということを見せてくれるものであったと思う。細かい技術だろうが、相撲にとってはすり足が基本(と教え込まされてきた)。その親指で踏ん張る力強さやふくらはぎの筋肉の線など、相撲の白熱さを表現しているように感じるカメラ演出であった。

管理人にとっての『シコふんじゃった。』
先に述べたように、管理人はわんぱく相撲経験者。しかも割と真剣に全力でやった経験を持つ。従って、稽古のあるあるを感じることのできるシーンが沢山ある本作は当時の記憶を蘇らせる記憶装置としての役割も持つ。特に、素人軍団がまわしのことをふんどしと言うことに対して、竹中直人演じる青木が「ま・わ・し」と強調するシーンは少年時代わざと真似をしていた記憶が蘇った。

ラストシーンで夏子が相撲部の残った秋平にシコを習うシーンで夏子が言うのである。

 ああ、シコふんじゃった。

やっぱり相撲は「シコふんじゃう」ところからはじまるのである。
沢山シコの練習もしたし、あれは実はかなり難しい。当時だって美しく足はあがらなかった。今、久しぶりにやってみたが、もうひどすぎる・・・。
それにしても「ふんじゃった」という表現は素敵ではないだろうか。
夏子は相撲が好きだ、という設定であるが、本当の「熱い」相撲を見たのは、体感したのはこの時が初めてであったことがよくわかるセリフである。本当に相撲の面白さに入っちゃうのである。しかも、それは自覚的、積極的というよりかはむしろきっかけや動機は異なるものであっても、である。だから、「ふんじゃった」なのではないだろうか?


本作はとにかく面白いし、俳優陣も素晴らしいし、ぜひお勧めしたい作品である。

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