ちょい若おやじの映画と読書の記録

映画と読書の記録をマイペースに更新しています。コメント・リンク・TB原則フリー&大歓迎!詳細はコチラをご覧ください。
"Words can't describe how it feels flying through an aurora. I wouldn't even know where to begin..."

スポンサーサイト

--.--.-- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

書籍レビュー#1 ゴジラ・モスラ・原水爆―特撮映画の社会学 [社会学]

2014.07.22 (Tue)
読んだ日:2014年6月11日

[説明]
2007年11月
せりか書房
好井 裕明

[レビュー]
ゴジラを代表とする50年代の怪獣映画が表出する現代史としてのリアルな原水爆から、モスラを代表とする怪獣映画から失われ始めた原水爆の体験、そして高度経済成長のTV普及による原水爆の体験から完全に遊離した「からかい」を筆者の「観た体験」を根幹において語っている。
単なる映画レビュー、映画からメッセージ性を読み解くという怪獣映画批評とは異なる歴史体験としての物語である。

思いっきり筆者の趣味趣向によって成り立つものであるが、一方で、あくまで体験の中の怪獣映画という視点を語る点において、「現代史」「歴史体験」「啓発の回路」を考える上で抜きにできないものではないだろうか。

「啓発の回路」とは、「平和」というキャッチコピーによって成り立つ、マスコミ、講演会、イベントから日常の「原爆」=「ダメ」という、現代史とは切り離された営みである。

ところで、本書の限界として、怪獣映画を読み解くことで、そのシナリオから当時のリアル体験がわかり、その当時の原水爆イメージを読み解くものであるとしているが、本書を書くにあたって筆者が大人になってDVDを何度も見直している点が挙げられるのではないだろうか。
つまり、ゴジラ・モスラ・原水爆をつなげるために(もちろん数々の東映裏話としてゴジラが第五福竜丸に影響されたものであることが正しいとされえているが)恣意的に何度もDVDを読み直しており、また当時映画館で筆者が読み取った情報の記憶もまた筆者が社会学者となる上で再構築されたものにすぎない。
もちろん、「だから本書はだめだ」と言いたいわけではなく、その歴史体験のリアルが風化してしまうことを語る時にこそ、そこで選択される話題、根拠に支配された歴史体験にすぎないこともまた感じる。
それこそ筆者の言う「啓発の回路」につながっていくものであり、それを侵食するファンタジーの創出は戦争体験の原水爆からは作りがたいのではないだろうか。
ここで頭に浮かぶのは福島原発の問題によって「原子力の平和利用」に再度スポットがあたったことだ。
最早、なし崩し的に再稼働が進み、その中で大飯原発さしどめ判決が下ったことは私たちの世代にとってのリアルなのかもしれない。
ただ一方で、そのリアルもまた過去の歴史の延長にあるものであり、そして今後大量に作られるであろう東日本大震災風化防止キャンペーンとしての映像、書籍、イベントが「啓発の回路」になっていくことが考えられる現状において、本書は重要な問題提起をかかげているのではないだろうか。

個人的には、大好きな怪獣映画シリーズであっという間に読めて、同時に様々なことを考えられたのだが、やはり、自分自身映画からメッセージ性を読み解くことを試みた際に感じたファーストコンタクトの重要性という経験から本書のやる気と同時にあるその限界に共感してしまった。

ただ残念なのは、風の谷のナウシカを原水爆と関連させるところ。
確かに宮崎駿は思いっきり核戦争に対するメッセージを作品にこめることが多いが、ナウシカに関しては映画版とマンガ版で設定も主張も異なっていることが抜け落ちている。映画公開後も継続して書き続けたナウシカは最早映画とはことなっている。
私が言いたいのは、その批判ではなくむしろ、くどいようだが、その主観的な選択(どんなことも主観だと考えているし、その善し悪しではなく)の限界なのである。

「パンパンの混血児」という記載については私にとって目を見張るものであり、この点において、再び目を通すことになりそうだ。
スポンサーサイト

コメント

コメントありがとうございますm(__)m
コメントについてはコチラ下部をご覧ください。
記事に対する感想や記事元の映画や書籍に対する感想など大歓迎です。とにかく誹謗中傷や宣伝広告目的でなければ、なんでもOKです。
コメントフォーム最下部の「送信 確認」クリック後のページでも同様の編集はできますので、いきなりクリックしても大丈夫です。

       

管理者のみに表示

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

トラックバックは原則フリーです。
ただし、自ブログの宣伝目的やトラックバック先との関連性が認められない場合等は削除します。該当ブログ記事がない場合はその関連性を明示してください。
トラックバックについての細かなお願いごとはコチラ下部をご覧ください。

まさか、ゴジラを「SF」にカテゴリーするとは思いもよらなんだ。 「特撮」ではないのも面白い。 ハリウッド版ゴジラのレビュー。公開日に鑑賞。従って、今回のことより、これ以降の記事として、劇場公開中、とりわけ公開したばかりの作品に対しては、ネタバレについて考慮する必要があると感じた。 従って、まずは[説明][あらまし]についてはいつも通り行い、後半のレビューについては、ネタバレ含むの感...

PAGE TOP

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。